繊維染色・印刷産業におけるセルロースガムの応用

繊維染色・印刷産業におけるセルロースガムの応用

セルロースガム(別名カルボキシメチルセルロース(CMC))は、その独特な特性から、繊維染色・印刷業界で様々な用途に使用されています。この業界におけるセルロースガムの一般的な用途は以下のとおりです。

  1. 増粘剤:セルロースガムは、捺染糊や染浴の増粘剤として使用されます。捺染糊や染料溶液の粘度を高め、レオロジー特性を改善し、捺染・染色工程における液だれや滲みを防ぎます。
  2. バインダー:セルロースガムは、顔料捺染および反応染料捺染においてバインダーとして機能します。染料や色素を布地表面に付着させ、色の浸透と定着を促進します。セルロースガムは布地上に膜を形成し、染料分子の付着性を高め、プリントデザインの洗濯堅牢度を向上させます。
  3. 乳化剤:セルロースガムは、繊維の染色・捺染処方において乳化剤として機能します。顔料分散や反応染料の調製に使用される水中油型エマルジョンを安定化させ、着色剤の均一な分散を確保し、凝集や沈降を防ぎます。
  4. チキソトロピー性:セルロースガムはチキソトロピー性を有し、せん断応力を受けると粘度が低下し、応力が除去されると粘度が回復します。この特性は、スクリーン印刷やローラー印刷を容易にしながら、優れた印刷品質と鮮明さを維持するため、捺染ペーストに有効です。
  5. サイズ剤:セルロースガムは繊維用糊剤として使用されます。糸や布地の表面に保護膜を形成することで、滑らかさ、強度、風合いを向上させます。また、織物や編み物工程における繊維の摩耗や切れを軽減します。
  6. 抑制剤:染色された布地の特定の部分から色を抜き取り、模様やデザインを描く抜染プリントでは、セルロースガムが抑制剤として使用されます。セルロースガムは、抜染剤と染料の反応を遅らせることで、プリント工程をより適切に制御し、鮮明でクリアなプリント結果を実現します。
  7. 防シワ剤:セルロースガムは、防シワ剤として繊維仕上げ剤に添加されることがあります。加工、取り扱い、保管中の生地のシワやしわを軽減し、完成した繊維製品の全体的な外観と品質を向上させます。

セルロースガムは、様々な配合物に増粘性、結合性、乳化性、サイズ性を与えることで、繊維染色・捺染業界において重要な役割を果たしています。その汎用性と他の化学物質との適合性により、繊維加工における貴重な添加剤として、高品質で見た目にも美しい繊維製品の製造に貢献しています。


投稿日時: 2024年2月11日