生地法とスラリー法で製造されたポリアニオンセルロースの耐流体損失特性の比較

生地法とスラリー法で製造されたポリアニオンセルロースの耐流体損失特性の比較

ポリアニオン性セルロース(PAC)は、セルロース由来の水溶性ポリマーで、石油・ガス探査で使用される掘削流体の流体損失抑制剤として広く使用されています。PACの主な製造方法は、ドウ法とスラリー法の2つです。以下は、これら2つの方法で製造されたPACの流体損失抑制特性の比較です。

  1. 生地の工程:
    • 製造方法:生地工程では、セルロースを水酸化ナトリウムなどのアルカリと反応させてアルカリ性セルロース生地を形成し、PACを生成します。この生地をクロロ酢酸と反応させることで、セルロース骨格にカルボキシメチル基を導入し、PACを生成します。
    • 粒子サイズ: 生地製造工程で製造される PAC は、通常、粒子サイズが大きく、PAC 粒子の凝集体または集合体が含まれる場合があります。
    • 耐流体損失性:ドウ法で製造されたPACは、掘削流体中で一般的に優れた耐流体損失性を示します。しかし、粒子径が大きく、凝集体が存在する可能性があるため、水系掘削流体中では水和と分散が遅くなる可能性があり、特に高温高圧条件下では、耐流体損失性に影響を及ぼす可能性があります。
  2. スラリープロセス:
    • 製造方法:スラリー法では、まずセルロースを水に分散させてスラリーを形成し、次に水酸化ナトリウムとクロロ酢酸と反応させて溶液中に直接 PAC を生成します。
    • 粒子サイズ: スラリー プロセスで生成される PAC は、通常、生地プロセスで生成される PAC と比較して粒子サイズが小さく、溶液中でより均一に分散されます。
    • 耐流体損失性:スラリープロセスで製造されたPACは、掘削流体中で優れた耐流体損失性を示す傾向があります。粒子径が小さく均一に分散しているため、水系掘削流体中での水和と分散が速く、特に困難な掘削条件において、耐流体損失性が向上します。

ドウ法で製造されたPACとスラリー法で製造されたPACはどちらも、掘削流体における効果的な流体損失防止効果を発揮します。ただし、スラリー法で製造されたPACは、水和と分散が速いなどの利点があり、特に高温・高圧の掘削環境において流体損失抑制性能が向上します。最終的には、これら2つの製造方法のどちらを選択するかは、具体的な性能要件、コストの考慮、および掘削流体の用途に関連するその他の要因によって決まります。


投稿日時: 2024年2月11日